日々の読書日記

読書の忘備録です

117回目「ある男」(平野啓一郎:文春文庫)

現役で活躍する現代作家の現代小説を読んだのは久しぶりだ。 平野啓一郎さんの『ある男』 シングル・マザーの里枝は、谷口大祐と名乗る男と出会い再婚する。ある日、大祐は仕事中の事故で命を落とす。やがて、夫だと思っていた「谷口大祐」は名前も素性も過…

116回目「ゴッドファーザー part Ⅱ」(フランシス・フォード・コッポラ監督)

昔。定食屋に一人で昼飯を食べに行った。ランチ時で店内はかなり混んでおり、明らかにホールスタッフの数が足りていなかった。 そこへ、50代くらいの見るからに柄の悪いヤクザ風のおっさんが、店に入り食券を買ってテーブル席に座ったが、店員は忙しすぎてお…

115回目「マッチ工場の少女」(アキ・カウリスマキ監督)

最近では『枯れ葉』で監督に復帰したフィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキが1990年に撮った映画。 アキ・カウリスマキの映画は初期の作品を除いて殆ど観ている。『マッチ工場の少女』も10代の頃に一度観た。70分弱と短く、あまり印象に残っていなかったの…

114回目「パルタイ」(倉橋由美子:新潮文庫)

映画『関心領域』の感想を書こうと思ったが、やめる。すでに多くの人が、ブログや動画でこの映画の感想を述べ解説している。幾つか拝見したが、そのどれもが非常に得心のいくもので、今更自分如きが、このブログで言及しても意味がないと思ったからだ。 ただ…

113回目「ヴィーガンズ・ハム」( ファブリス・エブエ監督)

以下の粗筋は、ウィキペディアからの抜粋。 「ソフィアとヴァンサン夫妻は肉屋を営んでいるが、経営が思わしくない。2人の結婚生活もうまくいっておらず、友人で商売敵でもあるステファニーとマルク夫妻の嫌味な言動にも苦しめられている。 そんなある日、過…

112回目「海辺のカフカ:村上春樹(新潮文庫)」

村上春樹は中学生かそこらくらいに『ノルウェイの森』を読んで、ナルシスティックな世界観がどうにも自分には合わないと思い、それ以降、読むのを敬遠していた。どうせ、ちょっと影がある感じのミステリアスなイケメンが生の喪失感に悩むような話なんでしょ…

111回目「灯台へ」(ヴァージニア・ウルフ:岩波文庫)

めっちゃ久しぶりのブログ投稿です。 ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』は、自分的にはカフカの『城』よりも難しかった。 家父長制への批判みたいなものがテーマになっているのは分かる。 が、そんなことより登場人物たちの会話が面白い。 第一部のラスト近…