めっちゃ久しぶりのブログ投稿です。
ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』は、自分的にはカフカの『城』よりも難しかった。
家父長制への批判みたいなものがテーマになっているのは分かる。
が、そんなことより登場人物たちの会話が面白い。
第一部のラスト近くに家族・客人を集めての晩餐シーンがある。
このシーンがすごい。会話というのはつまるところ駆け引きである。お互いが心の内部で思っていることを交互に口に出すだけが会話ではない。事実は徹底的にその逆である。如何に本心を隠すか。隠しながら、如何に相手を自分の思い通りの場所へ誘導できるか。ラムジー夫人が、その事のみに腐心しながら相手と交わす晩餐のシーンは、言葉の格闘技を見ているようだった。