日々の読書日記

読書の忘備録です

125回目「ラ・ラ・ランド」(デイミアン・チャゼル監督)

アマプラで鑑賞したのが、2週間ほど前の為、細部はあまり覚えていない。ブログのネタもないので、思い出しつつ書く。が、解釈など間違っているかもしれません。 夢追いフリーターの恋愛を描いたミュージカルで、予定調和な展開だろうなぁと思っていたけれど…

124回目「憐れみの3章」(ヨルゴス・ランティモス監督)

絶賛上映中のヨルゴス・ランティモスの新作。新作が公開される度に毎回映画館で観るのは、ランティモスとアルモドバルです。なんとなく、好きなんです。 それぞれ独立した3つの物語。 はっきり言うと、3つの物語ともストーリーを思いつくままに書いたような…

123回目「闘争領域の拡大」(ミシェル・ウェルベック:河出文庫)

真偽のほどは定かではないが、宮沢賢治は生涯童貞だったらしい。この話を知った当時の自分は、何故か心の底から安堵した。恐らく、高校生だった。当時の自分は、勉強もスポーツもできない、陰気な学生だった。異性からモテる要素が皆無であった。性欲は人並…

122回目「ガラスの街」(ポール・オースター:新潮文庫)

少し遅いが、今年の4月に亡くなったポール・オースターの追悼ということで読んでみた。いわゆるニューヨーク3部作の第1作目。後の2作は『幽霊たち』と『鍵のかかった部屋』。といっても、この3作は連作というわけではなく、それぞれ独立している。 自分は過…

121回目「宇治拾遺物語」(町田康訳 :河出文庫)

先日、ヨーロッパ企画という劇団の『来てけつかるべき新世界』という芝居を観た。 まあ面白く、何度も笑った。AIとロボットが大阪新世界に住む庶民の暮らしを席捲する近未来の話。基本的には、吉本新喜劇のようなドタバタコメディを基調としていて、バカバカ…

120回目「フォロウィング」(クリストファー・ノーラン監督)

クリストファー・ノーランの映画は、『メメント』を最初に観て、「へぇ。けっこう面白いやんけ」と思い、以降も何本か観ているが、どうも最初に観た『メメント』を超える作品はなく、大作になればなるほど、面白さは下降気味で、『インターステラー』とか『…

119回目「知と愛」(ヘルマン・ヘッセ:新潮文庫)

中学生の頃に『車輪の下』『デミアン』を呼んで以来のヘルマン・ヘッセである。 『知と愛』である。「ナルチスとゴルトムント」という副題が付いている。ナルチスもゴルトムントも人物名だ。「知」を重んじるナルチスと「愛」を重んじるゴルトムント。時に哲…

118回目「96時間」(ピエール・モレル監督)

『96時間』というタイトルだが、実際の上映時間は93分。93分間全く無駄がない。 ストーリーをざっくり説明すると、リーアム・ニーソン扮する元CIA工作員がフランス旅行中に誘拐された実娘を96時間以内に救い出す、というもの。それだけの映画。深さも奥行き…

117回目「ある男」(平野啓一郎:文春文庫)

現役で活躍する現代作家の現代小説を読んだのは久しぶりだ。 平野啓一郎さんの『ある男』 シングル・マザーの里枝は、谷口大祐と名乗る男と出会い再婚する。ある日、大祐は仕事中の事故で命を落とす。やがて、夫だと思っていた「谷口大祐」は名前も素性も過…

116回目「ゴッドファーザー part Ⅱ」(フランシス・フォード・コッポラ監督)

昔。定食屋に一人で昼飯を食べに行った。ランチ時で店内はかなり混んでおり、明らかにホールスタッフの数が足りていなかった。 そこへ、50代くらいの見るからに柄の悪いヤクザ風のおっさんが、店に入り食券を買ってテーブル席に座ったが、店員は忙しすぎてお…

115回目「マッチ工場の少女」(アキ・カウリスマキ監督)

最近では『枯れ葉』で監督に復帰したフィンランドの巨匠、アキ・カウリスマキが1990年に撮った映画。 アキ・カウリスマキの映画は初期の作品を除いて殆ど観ている。『マッチ工場の少女』も10代の頃に一度観た。70分弱と短く、あまり印象に残っていなかったの…

114回目「パルタイ」(倉橋由美子:新潮文庫)

映画『関心領域』の感想を書こうと思ったが、やめる。すでに多くの人が、ブログや動画でこの映画の感想を述べ解説している。幾つか拝見したが、そのどれもが非常に得心のいくもので、今更自分如きが、このブログで言及しても意味がないと思ったからだ。 ただ…

113回目「ヴィーガンズ・ハム」( ファブリス・エブエ監督)

以下の粗筋は、ウィキペディアからの抜粋。 「ソフィアとヴァンサン夫妻は肉屋を営んでいるが、経営が思わしくない。2人の結婚生活もうまくいっておらず、友人で商売敵でもあるステファニーとマルク夫妻の嫌味な言動にも苦しめられている。 そんなある日、過…

112回目「海辺のカフカ:村上春樹(新潮文庫)」

村上春樹は中学生かそこらくらいに『ノルウェイの森』を読んで、ナルシスティックな世界観がどうにも自分には合わないと思い、それ以降、読むのを敬遠していた。どうせ、ちょっと影がある感じのミステリアスなイケメンが生の喪失感に悩むような話なんでしょ…

111回目「灯台へ」(ヴァージニア・ウルフ:岩波文庫)

めっちゃ久しぶりのブログ投稿です。 ヴァージニア・ウルフの『灯台へ』は、自分的にはカフカの『城』よりも難しかった。 家父長制への批判みたいなものがテーマになっているのは分かる。 が、そんなことより登場人物たちの会話が面白い。 第一部のラスト近…

110回目「大人は判ってくれない」(フランソワ・トリュフォー監督)

ヌーヴェル・ヴァーグの旗手、フランソワ・トリュフォーの長編第一作。といっても「ヌーヴェル・ヴァーグ」がどういうものなのか、実はよく分かっていない。漠然とは分かる。「即興演出とか大胆な省略とかを用いて撮った当時としては革新的な映画の総称」く…

109回目「パラレル・マザーズ」(ペドロ・アルモドバル監督)

ペドロ・アルモドバル監督の映画は、話の設定を作るのが巧い。その設定さえあれば、どう転んでも面白くなるような設定を作る。中には「さすがにそれはないだろう」と思うような設定もある。しかし、そんな強引な設定でも不思議と作り手の都合を感じさせない…

108回目「欲望」(ミケランジェロ・アントニオーニ監督)

なんとなくダラダラと見始めて、ちょっと退屈だなと思いつつも途中で鑑賞を止める事もなく、というか、切り上げるタイミングを見失い、結局ラストまで観た。ダラダラと見続けて気が付けば終わっていた。全体的に印象が薄い映画だった。ラストもモヤモヤとし…

107回目「最後の将軍~徳川慶喜~」(司馬遼太郎:文春文庫)

坂本龍馬とか新選組が好きな人はけっこういるが、「徳川慶喜が好き」という人には出会ったことがない。よく耳にする「好きな歴史上の人物は?」といった質問に徳川慶喜を一番目に挙げる人は稀な気がする。日本を近代化に導いた立役者の一人であることは間違…

106回目「草薙の剣」(橋本治:新潮文庫)

10代から60代の6人の男が主人公。それぞれ年齢が高い順に「昭生」「豊生」「常生」「夢生」「凪生」「凡生」という名前が付けられている。彼ら6人のそれぞれの人生を、昭和から平成の終わりまでの歴史と同時に描かれる。令和は入っていない。 橋本治の…

105回目「ニック・オブ・タイム」(ジョン・バダム監督)

ジョニー・デップが主演の映画。面白いけど突っ込みどころは沢山ある。映画内で流れる時間と実際の時間が同じ、というのがこの映画のセールス・ポイントらしい。その点に関しては「言われてみれば確かにそうだなぁ」くらいの感慨しかない。イニャリトゥ監督…

104回目「ボヴァリー夫人」(フローベール:新潮文庫)

この小説の主人公はエマという名前の女性である。エマの物語である。しかし、タイトルは『エマ』ではなく『ボヴァリー夫人』である。小説内では、エマの行動と心理が最も多く描かれているのにも関わらず、この著しく主体性を欠いたタイトルが興味深い。しか…

103回目「浮雲」(林芙美子:角川文庫)

言ってしまえば、「不倫の果て」のような小説である。芸能人の不倫がゴシップになる度、「他人の事などどうでもいい」とか「興味がない」とか嘯いているが、そのくせ、つい関連するネット記事などを漁ってしまうのは、やはり、不倫に興味があるからだ。不倫…

102回目「ノスタルジア」(アンドレイ・タルコフスキー監督)

タルコフスキーの『ノスタルジア』を頑張って観た。「頑張って」というのは「途中で眠らずに」という意味である。タルコフスキーの映画は、他に何本か観ている。どれも途中で力尽きた。最短は『惑星ソラリス』で、恐らく、開始15分くらいで寝たと思う。 途中…

101回目「岩松了戯曲集」(little more)

劇作家岩松了の初期の戯曲集。 読書の醍醐味の一つに「行間を読む」というのがある。行間とは文章と文章の間にある空白の事である。要するに、何も書かれていない白紙の部分である。それを読むというのは、書かれていないものを勝手に想像して読むという事で…

100回目「キリング・ミー・ソフトリー」(チェン・カイコー監督)

取り敢えず、ヘザー・グラハム演じるヒロインの行動がアホ過ぎて…。ムカつく。 ムカつきたい時に観るといいかもしれない。 キリングミーソフトリー、タイトルの語呂は良くて、つい口ずさんでみたくなる。 それくらいしか書くことないなぁ。 キリング・ミー・…

99回目「音楽」(三島由紀夫:新潮文庫)

解説で澁澤龍彦が書いているように、『音楽』は三島由紀夫の作品群の中では主流ではない。マイナーな作品である。しかし、個人的には『仮面の告白』や『金閣寺』のような代表作より、この『音楽』の方が好きなのだ。理由は、他の三島作品を読んだ時に感じる…

98回目「ロフト」(エリク・ヴァン・ローイ監督)

ググってみたら、日韓合作の同名の映画があった。シンプルな題名なので被る事もあるだろう。今回は日韓の方ではなく、ベルギー映画である。思えば、ベルギーの映画を観るのは初めてかもしれない。 ロフトとは日本語で「中二階」という意味である(厳密には違…

97回目「わたしを離さないで」(カズオ・イシグロ:ハヤカワepi文庫)

『ちびまる子ちゃん』のクラスに藤木という男子がいる。藤木は他のクラスメート達から卑怯者のレッテルを貼られている。なぜ藤木は卑怯者になったのか。詳細は覚えていないが、最初の方のエピソードで藤木が卑怯者になるきっかけがあったように思う。それ以…

96回目「バーバー」(コーエン兄弟監督)

ビリー・ボブ・ソーントン演ずるエドは、義兄の経営する床屋で雇われ理容師として働いている。寡黙に淡々と客の髪を刈る毎日。妻のドリスが会社の上司デイヴと不倫しているのもエドは黙認している。ある日、一人の男がドライクリーニング事業への投資話をエ…