日々の読書日記

読書の忘備録です

118回目「96時間」(ピエール・モレル監督)

『96時間』というタイトルだが、実際の上映時間は93分。93分間全く無駄がない。

ストーリーをざっくり説明すると、リーアム・ニーソン扮する元CIA工作員がフランス旅行中に誘拐された実娘を96時間以内に救い出す、というもの。それだけの映画。深さも奥行きもないけど、スピード感がある。それがいい。王道の娯楽映画である。

少なすぎる手掛かりから、犯人を追い詰めていく過程がとてもスリリングで手に汗握る。悪役は分かり易く悪者で、ヒーローは分かり易くかっこいい。悪者がやっつけられるのでカタルシスがある。ラストのあっさりとしたオチも良い感じ。観客が楽しむポイントを熟知しており、それを忠実になぞった映画である。だから、「どう考えても娘が17歳には見えない」とか「パリに着いてすぐに誘拐されるのは運が悪すぎじゃないか」などのツッコミを入れるのは無粋であるように感じる。そんな事は気にせず、ただ映画を楽しめばいいのである。

自分は、皮肉でも嫌味でもなく、こういう作品(観客へのサービスに徹底した作品)を撮れる監督を尊敬する。