2024年の12月30日にアマプラで観た映画。去年最後に観た映画である。
"異食症"という聞きなれない病気が出てくるが、名前からどんな症候かはだいたい想像できるだろう。要するに、食べ物ではないモノを飲み込みたくなる衝動に駆られる一種の強迫神経症のようなものらしい。で、『スワロウ』では、とあるキッカケでこの病気を発症してしまった、ハンターという名の美しい新婚の女性が主人公である。
実際、彼女は劇中で色んなモノを嚥下し胃に流し込む。ビー玉、安全ピン、乾電池など。その飲み込む描写は、中々痛ましい。採血の注射すら出来ない先端恐怖症の自分には、結構見るのが辛かった。先端恐怖症は直接関係ないとは思うけど、「刺さる」「飲み込む」「体内に何かが侵入する」という一連の感覚が苦手な自分にとって、心理的抵抗感は相当なものであった。これは、個人的な事情である。
内容的に少し安易だなと思ったのは、ハンターが"異食症"を発症してしまうきっかけ。金持ちの旦那が所有する豪邸に住まい、経済的に恵まれてはいるが、どこか窮屈で居心地が悪い。夫とその両親に、まるで監視されてるような無言の圧と退屈を感じている。不満があっても、外に出て自立する術のない、つまりは、夫に従属するしかない自分。謂わば、そういったストレスが"異食症"の発症の原因である。
ハンターの行動原理はイプセンの『人形の家』のノラと似ているか、或いは同等だ。
ストーリーが進むと、ハンターの出生の秘密が明かされ、”異食症"よりも、もう一段重たい事情が映画に被さる。ただ、映画の主張の着地点としては、やはり『人形の家』と変わらない。女性の解放とか社会進出、自立、主たる者からの旅立ち・・・と、いうようなイプセンが生きた時代から続く社会の課題が、一世紀以上経った現代でも達成されずに残っているということなのだろうか。それはそれで人類の進歩の遅さを嘆かざるを得ない。
ここからは、とりとめのない感想をダラダラ書く。
映像がとても綺麗。ハンターの住む豪邸がとてもモダンでお洒落。映画全体のこのモダンで綺麗な映像が、ちょっとした効果を醸し出している。
ハンターがトイレで飲み込んだビー玉を排泄し、う●この中からビー玉をほじくり出すシーンがある。文章で説明すると、なんだかとても汚いが、映画全体のモダンな雰囲気があいまって、不思議と清潔感すら感じてしまった。う●こなのに。。。
全体的に男の登場人物がけっこう屑であった。
夫の友達が、ハンターの家に遊びに来る。この友達、ハンターに対してびっくりするようなセクハラをする。ハンターが身重であることを知っていて唐突に「ハグして」なんてのたまう。フツー、友達の奥さんにそんな事言わんやろって。自分がハンターの夫なら、そんな友達とは縁を切るかな。ちょっとデリカシー無さすぎるよなぁ。
あと、ハンターの夫も自分の女友達にハンターの病気を軽い気持ちで言うかね。あれは
ハンターもっと怒っていいと思うね。
以上。