数年前にカンヌでパルムドールを受賞した映画。前回のブログで中上健次の『枯木灘』を取り上げた。『枯木灘』を読了して数日後に観たのが、このマイク・リー監督による『秘密と嘘』である。どちらも登場人物たちを取り巻く「複雑な血縁関係」が作品のベースになっており、立て続けに鑑賞すると両者が少しダブった。
久しぶりに良い映画を観た。ストーリーはネットに紹介されているので敢えて詳細には語らない。黒人の娘と白人の母が邂逅する話。そして、母と娘が出会った後の数日が描かれる。役者の演技も、後半の家族・親戚が揃うバーベキューのシーンも、兎に角素晴らしいのだが、実は自分が最も心を掴まれたのは、メイン・ストーリーとは関係のない、サブ・ストーリーのようなシーン。
写真屋を営む弟が、カメラスタジオで客の撮影をするシーンがとても印象に残る。被写体は、老夫婦とか子供とか仲良し紳士たちとか三つ子とかボクサーとか、バラエティーに富んでいる。全体的に重い映画だが、スタジオで写真を撮るシーンは異色。この異色さが、映画にメリハリを付けているような気がした。ここで自分が感じた印象を文章化するのは難しい。とにかく、ストーリーとは全く関係がなく蛇足とも思われるような一連のシーンが、なぜか深く自分の心に残るのだった。
短いけど今日はこの辺で。タイトル以外は、本当に良い映画です。