日々の読書日記

読書の忘備録です

52回目「ダブリナーズ」(ジェイムズ・ジョイス 柳瀬尚紀訳:新潮文庫)

先日、祖母が亡くなった。通夜の前日、自分は祖母と一緒の部屋で寝た。葬儀会館に祖母を一人で残せないため、自分が祖母と一緒に留守番をしたのだ。祖母が眠っている横に布団を敷き、一夜を明かした。文字通り、死者に寄り添ったのだ。

祖母との思い出に浸り、懐かしんだ。同時に、自分のすぐ横に死者がいることに対して少し恐怖も感じた。自分は普段寝付きの悪い方だが、その晩は意外に安眠できた。祖母とは全然関係ない夢を見た。どんな夢だったか、断片しか覚えていないが、その夢の中に祖母は出てこなかった。朝、葬儀会社の人がやってきて「よく眠れましたか?」と聞いた。「はい」と答えたあと、少し変な気分になった。

ジョイスの『ダブリナーズ』の一編に、自分も迷い込んだ気がしたのだ。

書評でも何でもないが、書いておきたくなったので。

 

ダブリナーズ (新潮文庫)

ダブリナーズ (新潮文庫)